影踏み
ちと古いがようやく見た
横山秀夫の原作と言うことで興味深かった
横山秀夫といえば警察小説の印象とサスペンス的要素が強い
ただこれはちょっと毛色が違ったようだ
はっきり言って映画化には適さない原作だろう
内面を映像化するのは非常に困難だから
今まで見た映画の中で最も内面をうまく映像化していた映画は村上春樹原作のバーニングだと思う
原作を忠実に再現しているわけではないが脚色のなかにうまく内面を取り込んでいる
影踏みは双子の兄弟が心に抱える昏さを表現しようとしている
自分の影のようでいて常に比較される
一人の人格として存在したいのだがそれが成立しないもどかしさ
違っていると思いたいが実際にはあまりに似ている
相手から逃げ出し遠ざかりたいのに影のようについてくる
自分は双子ではないが、兄弟なので多少その気持ちは分かる
双子なら相当なものかもしれないと
難しいテーマに真正面に取り組みそれなりの作品に仕上げたのは監督や俳優の力だろう
あえていえばバーニング同様、映像化ゆえの思い切った脚色があって良かったのでは
亡き弟を実在かのように見せる工夫はよく練られていると思う
ただ小説のように多層的に描いたものを同じように映像化するとかえってボケてしまうように見えてしまうのでレイヤーをもっと減らしても良かったかもしれない