推し、燃ゆ 読み終えた
少し前に読み終えた
「カカ」と同じく、閉鎖的な恵まれない状況で生きる若い女性の姿と心情を描いている
(と思えた)
好きなアイドルに加えて心境を共にする仲間たちが自分の人生のスコープのほぼ全てを占める
精神的に未熟で幼若であるがゆえに、熱中するエネルギーも大きく強い
多くの大人たちも形は違えど一度は経験したかもしれない
感性豊かな人は若い頃を彷彿とさせるだろう
芥川賞なので面白いか面白くないかと言われれば・・・うーんか
「カカ」のインパクトが強かっただけに、期待は下回った感がある
彼女独特の表現形式をどう見るか
よくわからなけれども凄いと見るか、抽象的すぎると捉えるか
考えようによってはピカソの抽象画のようでもある
所々の文章表現は理解できないが、全体を通して見れば言いたいことが伝わるかの如く
もうちょっと言うと、難解表現について自分には書けない(発想できない)と思うと、何だか才能のようにも感じるのかもしれない
もう一つはテーマが時代にマッチしていると言うことなのだろう
モノに恵まれてはいるが、生きにくい今の世の中
厳しい競争の世界
底辺に行けば這い上がるのは難しい
周囲と比較してしまう風潮
自分自身を見失い光を見出せないやるせなさや無力感と焦燥感
日本の置かれた閉鎖的で先に待つ昏さを否が応でも分かってしまう今
どこに希望があるのかと叫びたくなる今
尾崎豊の歌ではないが、俺たちの未来どこへ向かうと言うのか(卒業より)
あの頃も今も本当はあまり変わってはいない
自分の未来を信じ、夢や希望を持って今に立ち向かっている者は別として、自分を必要以上に弱いものと見て、将来に目を向ける大多数の者たちには、この今の世の中は不満だらけだろう
そのような人たちに「推し、燃ゆ」はヒットするように思う
あのような生き方、考え方があって、何が悪い?私はこういう生き方しかできないしそれでいいじゃないと言う内容は、ほんの少しでも心が休まるだろう
確かにその通りだ
ジャンプするためには屈まないといけない
人は頑張れるが頑張り続けることはできないしする必要もない
休息が必要だ
十分休息すればいいのだ
いつか立ち上がれるし、もしかしたらジャンプでもしてみようかと思える時がくるかもしれない
自分はもういい歳だが、いい歳はいい歳なりにそう言うことも必要になることが分かった
それを自分も描いてみたいと思わされた