マザーレスブルックリン
アメリカ2019年の映画
何を描いているのだろう
タイトルからして、母のいない自分のルーツがテーマではなかろうか
孤児院で育った主人公がブルースウイリスに世話になり探偵となる
ブルースウイリスは最初の方で、よくわからない者たちに殺されてしまい、それを契機に主人公が事件を追いかけ真相に至るという流れになっている
メインストーリーは、1950年代マンハッタン開発における権力闘争となっているが、その裏に流れるのは、マザーレスブルックリンの物語である
ブルックリンには、黒人やラテン系のそのような出生の者たちが多くいて、権力を持つ者に否応なしに居場所を奪われていく
しかしあまり説教めいたスタンスでは描かれないので、権力を持つ側の方にも一理あると思わされる
理想主義者の捉え方がなぜなのかと思った
この映画では、黒人やラテン系などの居住する権利を守ろうとする側を理想主義者としていたが、最も権力を持つ敵役もある意味、ガチガチの理想主義者のように思えるからだ
街はこうあるべきだ、俺には将来が見通せる
それは神とも言える全能の理想主義者ではなかろうか
ただ主人公がこう尋ねる
誰のためかと
すると未来の人のためだと答える
未来の人のために今困っている人を犠牲にしても良いとするのだ
まあいわゆる理想主義に見せかけた肥大化したエゴなんだろう
自分のためなのだ
こういうタイプの権力者は実際には非常に多い
というかほとんどではなかろうか
社会のため、会社のため、従業員とその家族のためと言いながら、その実は、全てが自分のためで全てを決め実行している
あまりに強く思い込んでいるがために自分さえ騙している可能性すらある
映画に戻ろう
原作があるらしいが、ストーリーが相当違っているらしい
ある程度理解できる(付いていける)まで1時間近くかかった
いわゆる、よくわからないストーリー展開が徐々に明らかになっていくというタイプのシナリオ設定になっている
よかった点は何より主人公
ダスティンホフマンを彷彿とさせる雰囲気と素晴らしい演技力
実質、彼一人の映画と言って良いだろう
つまりブルースウイリスは必要ではないのだ(と思う)
なぜブルースウイリスを起用しあのような使い方をしたのか不明
映画に重みを持たせたかったのだろうか
そんなタイプの映画でもないし
いわゆる友情出演だったらいいとは思うが
逆に最初のブルースウイリスのインパクトが強すぎて随分長い間引っ張られてしまうというマイナス効果を生み出している
味わい深い映画であったのでその辺りが少し惜しい感じがした