ちょいとしつれいします

映画や本や趣味などを失礼ながら好き勝手に綴ります

映画「バーニング」と「終わった人」を観て

たまたま2本の映画を同時期に観た

 

「バーニング」は村上春樹の原作だったから

終わった人」は定年後の男を描いていたから

 

勉強になった

 

同じ2時間程度の内容でこれほど違うものか

 

もちろん「バーニング」が凄い出来だ

終わった人」には申し訳ないがこの対比はオモシロい

 

まず「バーニング」から

 

バーニングは燃えているということ

 

テーマのジャンルでいえば「なぜそれをしたか」である

 

勉強のために三行ストーリーを書いてみる

 

「朴訥な主人公が幼なじみの女性との出会いを通じて正体不明の

金持ち男と知り合うが最後にその男を焼き殺す話」

 

???ですな

 

この???がテーマであり観賞後の余韻を強くもたらす

 

別に謎解きでもなくサスペンスでもない

主人公に深く共感するわけでもない

 

ただ余韻が強い

キャラが立っているのだ

主人公、幼なじみの彼女(と主人公は思っているようだ)、正体不明の金持ち男

全てが妙な魅力に満ちている

 

村上春樹らしいといえばらしく原作の力に拠るところも大きいかもしれない

 

しかしやはり映像の力も大きいと言わざるを得ない

 

セリフは少なく映像は美しい

 

監督の力だろう

多分脚本も原作に忠実でありもちろん村上春樹も読んだに違いない

 

いまだに多くのシーンをまざまざと思い出せるほどだ

 

一方の「終わった人」は

 

三行ストーリー

「高学歴でスマートな主人公が定年を迎えるが自分はまだ終わっていない

 と新たな仕事に打ち込むが失敗し奥さんから卒婚される話」

 

同じく定年した身からはオモシロそうなのだが残念ながら観賞後に何も残らない

 

主人公の舘ひろしや奥さん役の黒木瞳など出演者に全く非はない

それどころか素晴らしい演技をしているとさえ思える

 

少々かじった生半可な知識で申し訳ないのだが・・・

 

まずテーマが分かったようでよく分からない

 

多分「卒婚」がテーマなのだろうがほとんどの内容は終わってない主人公の

再就職の成功と失敗が描かれる

この主人公の奮闘?と卒婚が実はマッチしていないのだ

俳句で言えば季語が二つあるような

 

つまりは原作というかシナリオというか脚本というか

どこかに問題があるのだろう

 

もし卒婚がテーマなら

(ちなみに卒婚とは婚姻関係は維持したまま夫婦生活は別々にという

 結婚生活のあり方らしい)

 

あれだけ奮闘する主人公は第二の仕事人生で成功せねばなるまい

奥さんも奥さんで自分の好きな美容院経営に乗り出す

つまり互いが定年を機に自分の歩む道を見出すが愛はしっかり

育まれていて卒婚という形を取るという話

 

次に終わっている人がテーマなら

 

主人公はまだ終わっていない、俺はまだやれると思っていることから

二つの選択肢がある

一つは奮闘の結果やはり終わっていたと自覚すること

(ただこれでは物語になりにくいだろう)

もう一つは奮闘の結果成功するが手痛い失敗もする

しかしその中から生きている実感を見出していく

最後は夫婦仲良く喫茶店経営でもいいし、若い頃二人が山登りが

好きで山小屋を開く話でもいい

 

いずれにせよ卒婚はいらない

 

それにしても勉強になった