目白蕪木「ちょいと失礼」

映画や本や趣味などを失礼ながら好き勝手に綴ります

自転しながら公転する

読み終わった

 

この手の小説を読んだのは初めてだったので正直苦労した

 

良いと思えたところから

 

まず何よりタイトル

 

これは秀逸というか素晴らしい

 

キャッチーでありながら内容をいい得て妙

 

座布団3枚

 

よく思いついたもんだ

 

次に安定した筆致というかブレのない表現力というか

 

慌てず急がず淡々と、抑揚は控えめに

 

この辺りは作者の人生経験や年齢によるものか

 

さすがである

 

さて視点だな

 

どうしても女性目線だから止むを得ないが男目線で読むと厳しいものがある

 

もちろん作者は男目線で読んでもらいたいなどとはハナから思っていないと思うが

 

読んでしまったものはしょうがない

 

男性表現が弱い

 

貫一は中卒のヤンキーで相当悪さをしたが硬派として真面目にやっている的な感じなのだろうが、そのきっかけになったのが災害ボランティアなのであればもう少しそこを深掘りすべきかなと

 

貫一の友人が彼の過去を暴露するところがあるが、見張り役みたいな悪さをするのは男からすれば小物中の小物で、こんな感じにはなりようがないと思ってしまう

 

この友人が居酒屋でなぜ貫一のことをここまで悪く、主人公に暴露するのかも必然性が乏しい

昔イジメられていたとかあるとしても、主人公に暴露すれば報復される可能性もあるのにだ

 

要はワルといえどチンピラでろくな大人になろうはずがないのだ

 

それが真面目な硬派になっている

 

それはなぜか

 

男目線からすると非常に重要なポイントになる

 

実はそれは貫一が災害ボランティアをやった経験が元になっているとするならそこはどこかの時点で彼が主人公に独白せねばならないだろう

 

彼の人間的な部分や人生観に大きく影響し、人を大切にする人格形成へと繋がったこと、お金が人生において最優先事項ではないと気づいたこと、とは言いながら、自分が中卒で生活基盤の弱い仕事しかつけないことが、世間的には受容されにくいと、いい大人になって初めて気づいたこと、結婚や家庭への憧れはあるが自分には身分不相応だと感じていることなどなど。

 

これは男目線であり、内容的には必然ではないのかもしれないが、ここで最も重要なことは、ラストに出てくる主人公のボランティア経験へとつながる必然性が弱いことが挙げられる

 

唐突なのだ

 

主人公がどこか貫一に惹かれ忘れられない思いがあるように描かれている(自分には伝わらないのだが)が、世の女性にはこの気持ちがすんなり伝わるのだろうか

 

その前に無免許運転で捕まった際の主人公の反応にも???だが

 

主人公は34歳か

 

作者は主人公の母親世代なので、想像の中で書いたのかもしれないがちょっとチグハグな印象を受ける

 

古い価値観と新しい行動みたいな

 

なぜ急に災害ボランティアに行こうと思い立つ?

 

貫一の思いを知りたい?共有したい?

 

この辺りもやはりついていけないのだ

 

そして最後に

 

プロローグとエピローグは書き下ろしで本来の内容にはなかったとあった

 

自分は不要だと思う

 

どんでん返し要素を入れ込み、貫一との将来が描かれるわけだが、、、、

 

自転しながら公転するという素晴らしいタイトルとテーマをぼかす結果になっている

 

それは内容もそうなのだが、ほとんど介護(母親)の大変さは伝わらないし、仕事はアパレルの中身がこれでもかと詳細に描かれるが、セクハラで辛い思いをするのだけが妙に際立つし、結局は貫一との恋愛成就のお話に終始するストーリーになってしまっている

 

まあ主人公がいみじくも語る

 

自分勝手な女と

 

それは確かでそっちの方が面白い

 

ということでタイトルを変えたらどうだろう

 

自転しすぎて公転を忘れる

 

チャンチャン