両刃の斧と特捜部Q WOWOW
まあまあ楽しめた
それにしても柴田恭兵だよね
70歳を超えてあの若さはすごいし演技力も群を抜いていた
原作があるらしいけど読んでない
いわゆるどんでん返し的ストーリー
勇退した刑事の長女が15年前に何者かに殺されたと言う本線にいくつもの伏線が絡み合う話
悪くないんだけど、すぐ前に特捜部Q(デンマークかな?)を見てしまっていたから、その対比が際立ってしまった
圧倒的なスケールと臨場感で描く特捜部Qはとにかくすごいの一言
カールかな、主人公の刑事と、その相棒のアサドと言う刑事のキャラも際立ち、迷宮入りになっている事件を彼らがほじくり返して真犯人とその背後にある深い闇を探り出す
カルテ64なんて、優生思想というテーマで、とんでもない社会性を帯びていて、歴史小説を読んでいるかのようだし
とにかく非の打ちようがない
何度でもまた見たくなるくらい
両刃の斧も悪くはないけど、やはり浅薄に見えてしまうのが残念
理由は二つ
一つは、最も重要な本線である長女殺しの犯人が実は偶発的に起こった事故で、次女だったというもの
これには相当無理がある
もちろん事故はあり得るので、問題はそこではなくて、仲の良い姉妹であってあのような状況に置かれた妹が果たして長女を置いて逃げ出すかって話である
首を切られた姉があの状態で、妹に逃げなさいと言うかって話なのだ
もちろん意味は分かる
姉は自分を傷つけた妹を庇って犯人にならないようにと思ったってことだろうけど、さすがにあの状況で、そんな深謀遠慮するだろうか
とにかく二人ともまずは救急車でしょ
死ぬと決まったわけでもないのに
犯人になるとか間違えるとか先のことを考える訳もなく、とにかく救急車を呼ぶのがごくごく普通の感覚だろうね
さらに言えば、妹はその後白血病で亡くなるまでそれを親に言えず黙っている訳だけれど、姉を自分が殺めてしまい、その姉が死んだことで苦しみ続ける両親を見ながらずっと平穏に暮らせるはずもない
黙っていられないでしょ
あまりにも罪悪感が強すぎて
あれがとにかく最大の失敗
それまで積み上げたものが全て無駄になった
要は安易な設定であって、ストーリーのための設定だったと言うことだね
もう一つの理由は伏線の多さ
勇退した刑事とその後輩の刑事との関係や後輩刑事と同期の男と死んだ長女が恋人関係にあったことや、後輩刑事の娘の恋人がやはり刑事で幼い頃にその母が交通事故と見せかけて殺されたとか、、、、
一言でやり過ぎ
明らかにプロットで組み立てたのがモロわかり
つまり最初の長女が次女に事故で死んだという点を隠すべく、さまざまな伏線をプロットに置いて作り上げたと言うことが見え見えになっている
手垢のついた作り物感満載なのだ
特に残念なのは、それによって、せっかくのキャラがみんな死んでしまったことにある
特捜部Qのキャラがイキイキとして、魅力的かつ共感力抜群なのに対して、こっちのキャラは、俳優がいいにも関わらずお遊戯しているようで、なんの共感性も感動もない
ラストの庭いじりを手伝いますという感動的?なシーンさえ、嘘くさく見える
この程度のドラマが6話シリーズになって一流の役者を使って流されるというところが日本のエンタメのレベルが低いと思わせる所以だな
もしかすると製作費が安いのかもしれないな
日本の場合はいいものを作ろうというより、決められたコストの中で作ることが求められるからね、多くの場合
ああ、日本の悲しい現実だなあ