酔うと化け物になる父がつらい
実話じゃないと書けない話だろう
書評コメントを読むと、概ね作者への共感が多い
内容は悲惨でありながら映画のトーンは暗くはなくあっさりと描かれている
しかし実際に同じような体験を持つ人からすると記憶がフラッシュバックしてしまうのではなかろうか
作者はこの漫画を描くことで逃避したかったのではないか
最後にガンと宣告され余命幾ばくもない父親に厳しい言葉を投げつけた自分を責める
自分が人として化け物ではないかと
ずっと誰にも言えなかった心の奥の言葉を吐露できた
そう
これは作者の心の救済がテーマである
誰が読む、読まない、見る、見ないなどどうでもよい
他にももっと底辺の人間や家庭もあるなどと言う辛辣なコメントもあるがそんなものどうでもよい
作者がこれを描くことで救われたかっただけだ
自分がずっと持ち続けていた心の呪縛から
誰もがこのような機会を持てるわけではなくずっと心の奥にしまったまま人生を終える人も多いと思う
そういう意味においては作者は良かったのかもしれない
この映画はその出来不出来をとやかく論じるべきものではない
こういう家族がありこういう経過を辿った
酒が悪いとか、誰々が悪いという説教じみた話でもない
幸不幸を論じることもない
この作者はこのような家庭で育ち、自分自身で自分の心を救ったのだ
それを単に眺める映画だ
ああ、そうなんだと