グレースオブゴッド
フランスで実際に起きたカトリック神父による少年性愛事件を描いている
この映画の真に怖いところは「信仰」にある
犯人の神父は隠すわけでも逃げるわけでもなく自分でも認めているのだが悪びれた様子は全くない
子供に性的虐待をしてしまう自分を許しているとさえ思える
それは「信仰」があるゆえだ
最後の方で虐待された男が息子から神を信じるかと聞かれ答えに窮するシーンがある
皆、信じたい神を信じている
それは時折自分に都合の良いものに変化する
神という名の下に全てが隠され都合の悪いものに蓋がされる現実
この映画の元となる事件はその一部を暴いたわけだが本質的には何も変わらないだろう
神を信じる者は間違いを犯すはずがないという思い込み
それにしても神に仕える人間でありながら自分のしていることが分かっていてそれでもなぜ繰り返すのか
神はそのような人間を間違いから救いはしないのか
犠牲者を出し続けるのを許すのか
犠牲者をどう救うのか
信仰とは何なのかを突きつける
世界の様々な宗教にあまねく存在するテーマ
信仰ゆえに間違いを犯し、異なる信仰を糾弾し、攻撃する
戦争さえ辞さない
神の名の下に
信仰とは目の前に見えるもののみを信じ、心の目を閉じることを言うのか
そんなことを考えさせられる映画だった