ショートスカートガール
なんと60歳以上限定での新人発掘プロジェクトで賞を取った作品らしい
ジャンルはミステリーで公募している
本作品はどちらかというと、サスペンス+純分学のような描き方がされている
やむを得ずミニスカートになったスーツを履かざるを得なくなった主人公が盗撮され15年後どうなるか、なぜそうなったかを描いている
デビュー作としては素晴らしいと思うし、なかなかここまで書けないと思える
で、岡目八目をお許しください
あくまで自分ならと言う視点で、リアリティがもう少し欲しかったかなと思う
冒頭で、スーツの直しが逆でスカートを伸ばすところを逆に詰められ、それを身につけて会社に行かざるを得ないと言う設定だが、まずここでほんのちょっとつまづく
足に強いコンプレックスを抱く若い女性ゆえに、スカートの丈を膝下まで伸ばすようにお願いしたところ、逆に7センチも短くされ、完全にミニスカート(それも相当な)になったものを果たして履くだろうか
もちろん、代わりのものは家にはないのだが
急病とでも言って会社を休むのではないだろうか
翌日着ていくものはその日に買いに行けばいいし、同時に買ったところに文句を言って当日中に直させるのもありだろう
午前半休だけでもいいしね
ここが弱くなってしまったので、その後の主人公の苦悶や葛藤になかなか共感しづらい
次に、ラストだが、様々な謎が明かされていく
主人公がずっと元警察官の富田に付き纏われていたこと
富田の異常な性的嗜好とその原因
盗撮犯が弁護士で利用したこと
富田を殺し完全犯罪を成立させるプロセス(特に富田が死ぬシーン)
最後の最後に、弁護士事務所の見習女性のエピソードまで(謎を解く鍵になった手紙とあわせて本のタイトルとかぶるように作られている)
これだけでも分かるが、ラストに詰め込まれ過ぎている感じが拭えない
アイデアがたくさんあっていいのだが、余りに多いと最後で一気に都合良く回収する感じが出てしまうのだなあと思った
僕だったら、富田の異常な性癖にフォーカスし、もっと際立たせるだろう、そしてラストはあのようにはしないかな
逆に主人公が積年の恨みを晴らすかの如くのラストにしたいな
それに弁護士事務所の見習女性は入れないな
つまり、多少の社会性や文学性は、刺身のつまくらいにしておいて、やはり本筋は、サスペンス一本でいきたい
主人公の女性の完璧な復讐劇として描きたいかな
まあこれは好みの分かれるところだけど
でも素晴らしいデビュー作に拍手を送りたい