不審者
伊岡瞬氏の著作
面白かった・・・が
結末ありきで読者を引っ張っていく感じが強くて、読後感がスッキリしなかったかな
実父のDVというか性的虐待というか、心の傷が原因でその後の人格形成に支障をきたし、事件を起こすというストーリーはありがちだけど、それはそれでいいと思う
途中まで義理の兄が、不審者としてイメージつけられていくがその展開も面白い
ただ、最後のどんでん返しのために、それまで積み上げてきたものが生きているかといえば少々違和感を持ってしまうんだな
主人公は、実父も姉も殺害し、結婚して家庭を持ってからも、義理の母を殺そうと画策(?)し、近所のママ友の家の庭にハムスターの死骸を放り込んだり、同じくママ友のやっているパン屋のパンに毛虫を入れるわけだけど、それはすでに異常性格者であるわけで、仕事も家事も育児もこなす日常の正常な暮らしを維持できるとはとても思えないんだな
どっかで破綻するだろうと思えてしまう
ラストのどんでん返しまで持っていくために、そこを隠して描かなくてはならないのでどうしても無理が生じてしまうし、収監されて泣くシーンや子供を思うシーンにも、共感が弱くなってしまう
ああ、そうだったんだなってならないんだな
あと、義理の兄が事件性を嗅ぎつけるってあたりもちと無理筋っぽいし
弟との関係もそうだし
主人公と母親との関係もそう
僕だったらどうするかなあ
タイトルにある不審者をメインにするなら、義理の兄が不審者として描かれるのはもちろん必要
主人公がおかしかったではなくて、弟である旦那を犯人にするかな
幼少期に離婚して、母親と弟、父親と兄が離れ離れになった
弟は何かでそれを恨みにずっと思っていて、ある日、兄に出会い、自分より見た目も能力も金もある兄に嫉妬の思いが募る
そんな展開にしたいな