妙な話
芥川龍之介の短編小説である
やはりすごい
何の変哲もない噂話のような内容なのだが、読み終えた際のインパクトは凄まじい
プレバトの夏井先生が俳句を評する際に、短いたかだか17音に込められたさまざまな描写やその奥にある思いが大きく膨らんでくる作品を良しとするが、まさしくそのような作品ではなかろうか
不要なものを全て削ぎ落としている感がある
それでいて読者を最後まで引っ張っていく
現実のようでいてファンタジーのようでもありサスペンスの要素も含む
一編の詩を読んだかのような深くて複雑な味もする
物悲しくもありホッともする
やはり文豪と称されるにはそれなりの理由があるのだな
ど素人の感想でしかないし、もしかすると、あくまでもしかするとだが
芥川龍之介の作品は、風刺が効いていて面白い一方、志賀直哉の作品には何もない
もっといえば作りもの感がまるでない
それを彼はよしとしたのではないだろうか
小説は作りものである
作りものではあるがそれを感じさせない
かといって日記のようなものでもない
ちゃんと何かがそこにはある
そんな感覚があったのかもしれない
もう一つ
創作は自分を曝け出す
小説は自分にベールをかけて曝け出す
志賀直哉はベールをかけていない
ベールをかけずに書くことがほとんどの小説家には出来ない
それは痛みを伴う作業だから
最後はそことの戦いになるからかもしれないと思ったりする