バタフライ和文タイプ事務所
日本文学100年の名作 第10巻である
名作短編集だが、表題の少しばかり変わった題名の作品が冒頭に出てくる
見事としか言いようがない
よく言われる、読者の掴み的なものはなく、淡々と進む
そして最後まで小説的なイベントは何も起こらない
ところがとんでもないインパクトを放つ
後半で官能小説だと分かるからだ
頭をガンと殴られたような気持ち
10編ほどが掲載されているが、この作品が群を抜いて光る
その光り方が尋常ではないのだ
官能小説と書いたが、訂正しよう
官能的小説である
ジャンルを特定できない
ファンタジー的でもあり、サスペンス的要素もあり、叙事詩的でもあり、何か、夢を見させられたかのような気分にもなる
シンプルで奥が深い
物事が何も起こっていないのに、読者は満足する
人物像などほとんどと言って良いくらい描かれてはいない
全てが空想的で確たるものはないのだ
最初は現実からスタートし、徐々に、何やら夢の世界に誘われていくかのように物語が進んでいく
とにかく素晴らしいの一言
こんな作品を書いてみたいと強く思った
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