スティルウオーター
昨年公開されたマット・デイモン主演の映画だ
スティルウオーターとはアメリカの町の名前である
いわゆるブルーカラーの町で、開発から取り残されたような町である
結論から言うと素晴らしい映画だ
このような映画を未だ世に送り出せるハリウッドの底の深さを思わせる
マット・デイモンは見事なハマり役で、彼以外にこの役はないだろうとさえ思わせる
しかし、何よりすごいのは脚本である
もちろんそれを見事に映像化した監督の手腕もすごい
この映画を一言で表すなら、抜け出せない絶望に見出した一筋の光明である
主人公であるマット・デイモンの奥さんは何らかの理由により自殺していて、その娘はフランスに渡って生活していたが、彼女はレズビアンであり、ルームメイトの女性が殺され、その犯人としてフランスのマルセイユの刑務所にいる
マットは多分奥さんの自殺の原因もあるのだろう、娘からは疎んじられ、信頼されない父であるが、娘は刑務所から手紙を出し、父を頼る
自分が犯人ではないと主張し、ある男の名前を言って父に助けて欲しいと頼むのだ
マットは、マルセイユで仕事を見つけ、あるシングルマザーと知り合って同居生活をしながらその男を見つけ出す
DNAが決め手となって、娘の冤罪が晴れ、娘は釈放される
ところがその過程で、実は娘がその男にルームメイトの女性をなんとかして欲しいと頼んでいたことを知る
しかも自分が渡仏の際に娘に渡していたネックレスや金と引き換えに
一方でマットは、シングルマザーの小さな娘と心を通わせ、シングルマザー本人とも結ばれるが、最後は、ある誤解によって追い出される羽目になる
マットと娘はフランスを後にして自分達の町であるスティルウオーターに戻ってくる
娘は、ここは何も変わらないと最後に言うが、マットは、全く違った町に見えると言って映画は終わる
不器用な町、不器用な男、不器用な娘
変わろうと思って頑張るが全てが裏目に出る
ブーメランのように戻ってしまう
そんな絶望を見事に描き、そして最後のマットの言葉に光明を描いている
素晴らしい映画である