かか 宇佐美りん著
熱情か計算か
絵画で言えばキャンパスに原色を書き殴るみたいなイメージか
ピカソのように、写実のレベルは遥かに超え抽象に至っているとも思えない
子供がぐちゃぐちゃに書いたらとんでもない絵になったか
実は相当な計算が働いていると思っている
緻密な計算が
それが宇佐美りん氏の凄さなんだろう
取り上げたテーマである、離婚した母の精神障害と娘との愛憎、彼女たちを取り巻く家族との愛憎、そう、これは人間の愛憎劇だろう
テーマ自体の色が原色だ
パステルカラーのような淡い色はどこにもない
赤、黒、白のイメージ
それを思わせるように血の色がよく描かれる
そして文体
これも計算づくだろう
テーマにマッチしている
人称もそう
全てを計算して読む人がどう読むかがわかっている
将棋で言えば藤井聡太くらいの天才なんだろう
ただ一点、あのラストはどうなんだろうとは思った
推し、燃ゆで芥川賞を取ったがまだ読んでいない
読むのが楽しみだ