ハチドリ
十四歳の少女の日常と揺れ動く心を描いている
良作である
勝手な思い込みかもしれないが、韓国映画にしてはアップダウンの少ない描き方と思えた
心象を表すのが難しい映像表現をまずまずうまくまとめている
自分の十四歳の頃ってどうだったんだろうか
感性に溢れた年代
ほとんど思い出せない
毎日何を考えて生きていたのか
夢遊病者のようだった気もする
かけがえのない時代だったという印象も記憶もない
まだ意識が成熟していなかったせいだろうか
サナギの中にいるような
それとも単に老化によるものか
砂時計の砂がサラサラとこぼれ落ちていくように
ただそれも自然なことではある
僕たちは意識を向けたものを選び取って生きていてそれに共鳴するものに共感し、その強度によって記憶する度合いもまた変わる
なので、この映画を僕みたいな初老の男が見ると、共感やノスタルジーを感じるかと言われれば答えはノーとなる
感動するかと言われてもイエスにはなりにくい
頭が理屈っぽくなってしまっているのかもしれない
ただ、理不尽な父、暴力をふるう兄、裏切る友達や恋人、理解してくれる塾講師たちが描かれるが、誰一人として悪人はいないし、善人もいない
そしてそれが世界だ・・・という理解はできる
たぶん、あえてそのような描き方をしていると想像するが、キャラクターを深く描いていない
それが物足りなさもあるが、十四歳の目から見た夢遊病者ゆえの視点なのだろう