前科者 WOWOW
有村架純主演の映画
W座だったので期待したけど、それほどでもなかった
薫堂さんたちは森田剛の演技をとても褒めてたのが印象的だった
個人的には有村架純という女優の印象が良くなくて、どうしてもアイドル感が強いのでそれだけでマイナスになってしまうところがある
とはいえ、脇を固める俳優陣、特にリリーフランキーや木村多江はやはり秀逸
森田剛は最後の泣くシーンが迫真だったけれども、あれだけかな
逆に言えばあそこまで泣かせるまでの中身が乏しい
つまり兄弟の生きてきた過去の積み重ねがしっかり描かれていない
この映画も最近に多い、プロット映画の典型のように思える
プロットを立てて幕内弁当のようにさまざまな要素を詰め込む
有村架純の相手役の刑事が、彼女の部屋でキスをするシーンなどは、お決まりの時間帯にお決まりの流れだと思わず笑ってしまうほど
あんな必然性のないものを入れるのがプロット映画の典型
プロットばかり重視するから、肝心のリアリティが乏しくなる
3人目の自転車に乗った被害者の時、弟を庇うために被害者の爪に自分の皮膚を残すというのが一つのトリック的になっているけれども、???である
弟が誰かに見られているとか、何かない限りそんなことをなぜ兄は思う?
もっと前に戻れば、兄がいるラーメン屋に弟が訪れて、出会うって??
寄り添うように生きてきたのではないのか?
遠いところに住んでいるのならまだしも、あんな近いところに住んでいて顔を合わせないのか?
もし何か理由があるのならなぜそうなのかを描くべきだろう
兄と弟が離れて暮らしている理由を
しかもあの精神に障害を抱えているような弟がどうやって暮らしを立てているかも
あとは、最後に森田剛が病院で木村多江なる弁護士を殺そうと若い刑事が気づくシーンがあって、あれもよくあるドンデン返し的なのだが、あまりにもお粗末
なぜなら、若い刑事はコンビニで働く有村架純に電話をし、彼女は急いで病院に駆けつけるとなっているが、そんなこと絶対あり得ないわけで、病院に刑事が詰めているからそこに一本電話すれば済む話なのだ
「戻ってきて、このままじゃ人間に戻れなくなる」
最後の有村架純のお説教じみた独白も長いし不要
とにかくプロットを立ててそこにイベントを詰め込んだ典型的な映画
リアリティがなく人が生きてない
人が使い捨てになっていることに気づかない
薫堂さんにもその辺りをしっかり言ってもらいたいものだ