目白蕪木「ちょいと失礼」

映画や本や趣味などを失礼ながら好き勝手に綴ります

奨励会 将棋の子を読んで

今年初めての投稿だ

 

新たな年を迎えたが、特に変わらない

 

初めてと言えば、正月に実家に帰らなかったくらいか

 

あと年末には常に夫婦以外に娘がいたものだがとうとう大晦日も二人きりだった

 

さすがに一抹の寂しさは感じたがこれも慣れるのだろう

 

お袋が80歳半ばで一人で年末年始を迎えたことを思えばまだ恵まれている

 

さて奨励会

 

元々将棋というか将棋界が好きだ

 

プロの将棋指しがどれほど凄いものか知っている人は知っているが知らない人は

全く知らない

 

当たり前か

 

よく例え話にこうある

 

10歳(小学校5年生くらい)にして、近隣在郷敵なしの子供が稀に現れる

 

地元では天才だともてはやされる

 

並居る自称強豪の大人たちをなぎ倒す

 

県アマ名人クラスと言っていいだろう

 

この少年たちが百人集まって一人プロになれるかどうかくらいの狭き門である

 

奨励会という組織はプロ養成機関になる

 

基本全てのプロ棋士はここを通過する(まれに例外はある)

 

ここで厳しい試験(つまり将棋で勝つことだが)をクリアして3段まで上り

最も厳しい3段リーグで上位2名のみが晴れて4段としてプロになる

 

まあ、詳細はいいだろう

 

たまたま将棋の子という本に巡り合った

 

大崎善生氏著作によるものだ

 

氏は映画にもなった聖の青春の原作も書いている

 

氏はたまたま(この世に偶然はないがあえて)将棋界に関わる仕事に就き

奨励会でもがき苦しむ少年たちと出会う

 

奨励会の厳しさはそれこそ半端ではない

 

自分もある程度は聞き知っていたが、実力本位の世界とはこれほどのものかと思い知らされる

 

将棋が好きで好きで、物心ついた頃から毎日が将棋づけになり、周囲から天才と言われ

自分もプロになるのが当たり前と思って入会するところが奨励会

 

ところがそこには同じような人間が山ほどいる

 

奨励会には退会規定があり、一定の年齢までにプロになれなければ辞めなければならない

厳格なルールがある

 

21歳までに初段(アマのではない)、26歳までに4段(つまりプロ)になれなければ

退会せねばならない

 

21歳の壁が越えられても、26歳の壁が立ちはだかる

 

将棋しかしてこなかった26歳の青年が、退会した翌日から何を目指して人生を送れるのか

 

そのような苦悶に満ちた彼らの人生模様を綴った本だ

 

寝る前に読むのだが、涙で途中が読めなくなる

 

かと言って絶望の涙でもない

 

そこには人が必死で生きていこうとする希望の芽みたいなものが垣間見える

 

ある種の清々しささえ漂う

 

その厳しい経験はいつか人生で役に立つ時が来る、というのは簡単だがそんな文句を

簡単には吐けないほどの厳しさが描かれている

 

逆に言えば、プロになり、さらにトッププロとなるほんの一握りの棋士たちの持つ

並々ならぬ何かにも驚かされるのだ

 

木村義雄大山康晴中原誠谷川浩司羽生善治、そしていまをときめく藤井聡太

 

藤井二冠はともかく、木村から羽生までの系譜は、将棋界をある程度知っている人なら

実力、人格共に将棋の神様に選ばれた名人としての正統なものとして認めるだろう

 

もちろん他にもトップ棋士は大勢いる

 

皆凄いのだ

 

何が凄いか次回