ちょいとしつれいします

映画や本や趣味などを失礼ながら好き勝手に綴ります

2021-01-01から1年間の記事一覧

名もなき生涯

監督が哲学者という 第二次世界大戦の際、ドイツに併合されたオーストリアの青年が、最後まで兵役に抵抗し最後は処刑されるという物語 ラストのテロップに流れる言葉が重い 歴史に残らないような行為が世の中の善を作っていく 名もなき生涯を送り、今は訪れ…

マネーショート華麗なる大逆転

タイトルからしてB級映画のようで全く期待していなかったが実は本格的で面白かった 2007年のアメリカにおけるサブプライムローンに端を発したリーマンショックの際に、それを予見し大儲けしたいくつかの個人や会社の物語だ ウオーレンバフェットも暴落前に株…

ジュディ 虹の彼方に

これぞ映画で表現するに値する映画だろう 見応え十分だった 主人公のジュディは言わずもがな、あのオズと魔法使いのドロシー役を演じた女優であり、その晩年を描いている 彼女は2歳から舞台に立ち、周囲の大人に翻弄された半生を送ってきた 4人もの夫との…

ヴィクトリア女王 最期の秘密

あまり興味あるジャンルではなかったが見始めたら意外に面白かった 若くして女王の座についたヴィクトリア女王の苦悩が描かれる 権力を一身に纏った者の宿命として家族ですら信用できずかといってその責任を投げ出すこともできない それでいて権力への渇望は…

グレースオブゴッド

フランスで実際に起きたカトリック神父による少年性愛事件を描いている この映画の真に怖いところは「信仰」にある 犯人の神父は隠すわけでも逃げるわけでもなく自分でも認めているのだが悪びれた様子は全くない 子供に性的虐待をしてしまう自分を許している…

マーウェン

酷い暴行を受けて記憶喪失やトラウマになった男の実話だ 人形を自分たちに見立ててその世界に逃げ込むことでなんとか生き延び、それを写真にして発表することで立ち直った なかなか面白かったが、W座の解説者たちも言っていた通り、監督であるゼメキスがやり…

ナイブズアウト

2019年末の映画だ 本格的な謎解き、推理ものである 結構評価も高い のだが 何だろう 何か物足りない 探偵がダニエルクレイグだからだろうか 強く肉体派俳優的イメージのD.クレイグ それが明智小五郎みたいだ そのアンマッチさが最後の最後まで取り除かれ…

ダブル・ファンタジー 村山由佳著

オンライン仲間の一人から、小説の話題になり薦められた本である 2007年頃の本なので14年ほど前になる 生まれて初めて読む類の本だったがいい意味で刺激にはなった もちろん創作としての刺激だが ハイセンスな恋愛官能小説という感じだろうか 35歳の女性売…

マザーレスブルックリン

アメリカ2019年の映画 何を描いているのだろう タイトルからして、母のいない自分のルーツがテーマではなかろうか 孤児院で育った主人公がブルースウイリスに世話になり探偵となる ブルースウイリスは最初の方で、よくわからない者たちに殺されてしまい…

ウオーデン 消えた死刑囚

2019年 イランの映画だ なかなか難解ではある 無実の死刑囚が刑務所が潰される際に、所内のどこかに隠れて逃げようとするが、出世のかかった刑務所長が必死に見つけようとする物語である サスペンス仕立てではあるが、テーマは人間愛のようだ 所長は必死…

推し、燃ゆ 読み終えた

少し前に読み終えた 「カカ」と同じく、閉鎖的な恵まれない状況で生きる若い女性の姿と心情を描いている (と思えた) 好きなアイドルに加えて心境を共にする仲間たちが自分の人生のスコープのほぼ全てを占める 精神的に未熟で幼若であるがゆえに、熱中する…

閉鎖病棟

なかなか見応えのある映画だった 原作は小説のようだ 監督はもちろん、脚本も俳優陣も良いのだろう 最初にちょっとだけ思ったのだが、閉鎖病棟というタイトルは小説そのままだと思うが、映画用に変えても良かったかなと 映画の雰囲気と閉鎖病棟というタイト…

マイブックショップ

2017年の映画 素晴らしい映画である イギリスの海沿いの田舎町が舞台で、本好きの女性が5年も空き家だった古い建物を買い取って本屋を開くところから始まる 原作があり、読んでないが多分クリスティーンと言う少女の視点で描かれていると思われる テー…

希望の灯り

希望の灯りという映画を見た ドイツ映画だが、よく分からなかったが旧東ドイツの巨大スーパーを舞台にしているそうだ 何より主人公の演技が良い 無口で誠実な青年 悪い仲間とつるんで刑務所に入る過去があるが本人は決して悪人ではない 性格が優しい故に断り…

日本統一

なぜかは知らないが、WOWOWで何本か続けて放映したのをこれもまた興味本位だけで録画したら、結構面白い 調べてみると物凄い数の作品があって、スピンオフなんかもある どこかで見たような俳優陣が多く出ているが、最も有名なのは哀川翔かもしれない いわゆ…

やはり死ぬのは、がんでよかった 中村仁一著

素晴らしい本である 前著の大往生したけりゃ医療とかかわるなも読んで納得していた 父は83歳で亡くなった パーキンソン病を発症し、お決まりの大腿骨頸部骨折を両足やり、リハビリでなんとか一時は歩けるようになったが、その後痛みも出て結局は寝たきり生…

ライドライクアガール

オーストラリアの競馬にまつわる家族の実話 ほぼ忠実に再現しているようだ 主人公のダウン症の兄も本人が出演している やはり物語は実話には叶わないかと思わせる とにかく女性である主人公の強さが桁外れに凄い 10人いる兄姉の末っ子だが他の子供たちがど…

推し、燃ゆ(読み始め) 宇佐美りん氏に関して

読み始めた。 文藝春秋で掲載された彼女のインタビューも読んだ。 そこから見える姿は、特別な感性と特別な表現力の両方を兼ね備えている生粋のアーティストである 「かか」で描いたような愛憎劇はもちろん経験してはいない 全ては頭の中で描いた物語だろう …

8番目の男

裁判員裁判を初めて導入した実話に基づく韓国映画だ 面白かった 相当脚色されている印象はあったが 確かに実話仕立てではドラマ性に欠けるようにも思うのでそれはそれでいいのだろう ただ陪審員の要望による実況検分などが行われたのが真実ならやはり興味深…

不毛地帯 映画版

もちろん山﨑豊子の原作が素晴らしいことは言うまでもない しかし映像化された不毛地帯もまた素晴らしい 重厚にかつ精緻に作られている 3時間もの映画ながらあっという間である 監督も脚本も素晴らしいのだろう また主人公を演じる仲代達也のこれ以上ないと…

かか 宇佐美りん著

熱情か計算か 絵画で言えばキャンパスに原色を書き殴るみたいなイメージか ピカソのように、写実のレベルは遥かに超え抽象に至っているとも思えない 子供がぐちゃぐちゃに書いたらとんでもない絵になったか 実は相当な計算が働いていると思っている 緻密な計…

その日のまえに 重松清著

泣けると題した帯に釣られ読んでみた 氏の著作は以前短編を一つ読んだことがあるくらい その時にも感じていたのだが、この本からもどうしても現実感みたいなものが得られないなと思ってしまった なんだろう 自分の側に問題があるのかな つまり人の生死にまつ…

シンクオアスイム いちかばちか俺たちの夢

2019年のフランス映画 スウェーデンの男性シンクロナイズドスイミングチームの実話が題材のようだ 相当脚色はされていそうで、少し作り込み過ぎたかと思わないでもないが、面白い 中高年の男(たち)が生き甲斐を見いだせず無為な生活を送るが何かをキッ…

松山英樹マスターズ優勝

3日目を終わって、2位と4打差のトップ これ以上ない展開で大チャンスと思った それに何しろ松山だから というのも、他の日本人選手には申し訳ないが、この位置で最終日を戦って勝てる可能性のあるのは松山しかいないとあえて断言する 往年の名選手でいえ…

ダラスバイヤーズクラブ

HIV治療薬を巡る実話に基づいている AZTという元々抗癌剤を抗ウイルス薬として使い始めた時期の話で、もちろんHIVに効果はあるが、副作用も強く継続困難であるばかりか免疫機能を低下させてしまう問題があった 映画では製薬会社と医師とFDAが結託して、旨い…

初恋 お父さん、チビがいなくなりました

ああ、面白かった この映画を面白く見られる年代があるだろうとは思うが 若い人は退屈と思うかもしれないな 結婚していて人生の後半を迎えている人には面白いだろうな 原作は西炯子さんという漫画家らしい いくつかなと思って調べてみると54歳だ ご両親を…

スタンドアップ

スキャンダルと合わせて見た 初めてのセクハラ訴訟らしい 何と1988年の実話が元になっている ということはセクハラ云々とはまだ30年ちょっとしか経ってないのだ 日本はもっと遅かっただろう ハラスメントという言葉が使われ出した記憶はそんなに古くな…

スキャンダル

公開は2019年 2016年に起こったFOXでのセクハラ訴訟が原作になっている 肝心の女性キャスターたちの立ち位置と関係性が今ひとつわかりにくかった これは多分アメリカ本国では有名なキャスターたちなのでそこまで描かなくても良いということだろう し…

NHK将棋決勝戦と女子ゴルフ最終日

斉藤8段と稲葉8段の決勝戦だった 力戦型の闘いで面白かった 斉藤8段の仕掛けが積極的で急戦模様だったが、稲葉8段の落ち着いた対応が印象的だった どちらの棋士が好きか嫌いかというと正直ほんのちょっぴりだけ斉藤8段の方が好きだ 理由は単純でまず名前 昔…

自転しながら公転する

読み終わった この手の小説を読んだのは初めてだったので正直苦労した 良いと思えたところから まず何よりタイトル これは秀逸というか素晴らしい キャッチーでありながら内容をいい得て妙 座布団3枚 よく思いついたもんだ 次に安定した筆致というかブレのな…